10 ヤマユリ(ユリ科)
 特徴:ユリ科の多年草で、近畿地方以北の本州の山地や丘陵に自生します。
     7〜8月、白く大きな花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県大滝村(2004.7.10)
 一言:以前は里山の林床にも多く見られたヤマユリですが、近年、個体数が減少していると言われています。原因としては、林床の草刈りを実施しなくなったため、背の高い草やササ、樹木が生い茂り、ヤマユリの生育に適した環境が少なくなってきていることや、イノシシなどに根を食べられることが指摘されています。
     
ヤマユリ(2004.7.10撮影)                    オレンジの花粉がよく目立つ(2004.7.10撮影)



9 カタクリ(ユリ科)
 特徴:ユリ科の多年草で、北海道から九州の主に落葉広葉樹林の林床に自生します。
     4〜5月、紫色で花被片が反り返った可憐が花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県名栗村(2004.4.10)
 一言:ある個体が花を咲かせるまで7〜8年かかるといわれ、春、雑木林が芽吹く前に発芽、展葉、開花、結実を終了させて、森が暗くなる頃には地上部を枯らしてしまうという独特の生活サイクルを持っています。そのはかない生活サイクルから、ニリンソウやアズマイチゲなどとともに「春の妖精」(スプリング・エフェメラル)と呼ばれています。昔は、カタクリの根を片栗粉の原料に用いていました。
    
開花個体は必ず葉が2枚(2004.4.10撮影)         天気がよいと花被片が反り返る(2004.4.10撮影)


8 ヤマザクラ(バラ科)
 特徴:バラ科の落葉高木で、本州、四国、九州の山地に広く自生します。
     4月、ソメイヨシノよりも遅く、葉の展開とほぼ同時に花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県飯能市(2004.4.4)
 一言:寿命が長く、山で巨木に出会うことが多い樹木です。材は建築材や家具材のほか、版木として用いられます。また、樹皮は細工物に用いられ、見て楽しめ、使って有益な、とても働き者な樹木といえるのではないでしょうか。
    
雨中のヤマザクラ(2004.4.4撮影)               葉と同時に展開する花(2004.4.4撮影)


7 ヤマコウバシ(クスノキ科)
 特徴:クスノキ科の落葉低木で、関東地方から西の山地に自生します。
     4月、葉の展開とともに、淡い黄色の小さな花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2004.3.13)
 一言:落葉樹にもかかわらず、枯葉を冬の間も枝につけているため、遠方からでもヤマコウバシを区別することができます。また、秩父地方では若葉を乾燥して粉にし、餅に混ぜて食べていたことから、「コナシバの木」という別名もあります。昔の非常食だったみたいですね。
   
落葉期のヤマコウバシ(2004.3.13)             冬でも落葉を落とさない(2004.3.13)


6 ツノハシバミ(カバノキ科)
 特徴:カバノキ科の落葉低木で、北海道から九州の山地に自生します。
     3〜5月に黄色い花序を垂らして咲かせます。
     9〜10月に先が嘴状にとがったおもしろい形の果実をつけます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.8.28)
 一言:嘴状の果ほうの中にある堅実は生でも煎っても食べられます。味はカシューナッツみたいで美味です。今回採取した果実はまだ熟し切っていなかったため、煎って食べてみましたが、まだえぐみが強かったです。特用林産物として注目したい樹木の一つです。
      
ツノハシバミの葉と実(2003.8.28)   嘴状にとがった果実(2003.8.28)   果実の中の堅果(2003.8.28)


5 オオバアサガラ(エゴノキ科)
 特徴:エゴノキ科の落葉小高木で、本州、四国、九州北部の山地の渓流沿いに多く生育します。
     6〜7月に複総状の白い花を垂らして咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.6.8)
 一言:渓流沿いで白い花が風に揺れる姿は、清涼感にあふれています。また、材には美しい絞り模様がでるため、床柱にも用いられます。あまり知られていませんが、今後注目される可能性を占めた樹木だと思います。
      
オオバアサガラの花(2003.6.8撮影)    渓流沿いに多い(2003.6.8)    材は床柱にも(2003.6.8)


4 タラノキ(ウコギ科)
 特徴:ウコギ科の落葉小高木で、日本全国の丘陵や低山の日当たりのよい荒れ地に生育します。
     伐採跡地にまず生える、いわゆる陽樹で、8〜9月に緑白色の複散形の花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.6.8)
 一言:春先の新芽、いわゆる「タラの芽」は山菜の王様として全国的に有名です。残念ながらこの日見かけたタラノキはすでに写真のように羽状複葉の葉を展開し、「タラの芽」の姿とは違うものでした。これだけの葉を展開する力を持つ「芽」なわけですから、おいしいはずです。
      
残されたタラノキ(2003.6.8)  タラノキの芽(2003.6.8)          タラノキの葉(2003.6.8)


3 タケニグサ(ケシ科)
 特徴:ケシ科の多年草で、草丈1〜2mに達し、日当たりのよい荒れ地を好むことから、
     造林地の伐採跡地に多く見られます。
     7〜8月に花弁のない、白い花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.6.8)
 一言:タケニグサの茎や葉を切るとオレンジ色の乳液がでます。この液は有毒で、弱い人はかぶれる一方で、害虫の駆除に用いられたりもします。埼玉森林インストラクター会の岩田会長は、この乳液を足の裏に塗ったところ、水虫の症状が改善したということで、この日も実践していただきました。まさに毒と薬は紙一重のようです。
    
タケニグサ              オレンジ色の乳液          水虫に効く?


2 ヤマブキ(バラ科)
 特徴:バラ科の落葉低木で、北海道南部から九州まで、山地の少し湿った場所に群生します。
     4〜5月、5弁の黄色い花をたわわに咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.4.19)
 一言:都幾川村に隣接する越生町に「山吹の里」というヤマブキの名所があります。太田道灌が狩りで当地を訪れた際不意に雨が降り、一件の農家に蓑を借りに声をかけたら、若い娘が「七重八重花咲けど山吹の実の一つだに無きぞ悲しき」の歌が返ってきたとのこと。意味がわからなかった道灌は怒って帰るが、後に「蓑一つない悲しい現実」を理解し、恥じたという話のゆかりの地といわれています。

    
ヤマブキの花                            沢沿いに群生していた


1 コバギボウシ(ユリ科)
 特徴:ユリ科の多年草で、北海道から九州まで、日当たりの良い少し湿った場所に群生します。
     7〜8月頃、うす紫色の花を咲かせます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2003.4.19)
 調理:ギボウシの酢味噌和え
     @水で洗ったコバギボウシを熱湯でさっとゆでます。
     A味噌、砂糖、酢それぞれ適量を混ぜ合わせます。
     Bゆでたコバギボウシと酢味噌をあえればできあがり。

    
水で洗ったコバギボウシ                     コバギボウシの酢味噌和え




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