16 サンショウ(ミカン科)
 特徴:ミカン科の落葉低木で、日本各地の山地に自生します。
     4〜5月に小さな黄色い花を咲かせ、9〜10月に赤い実をつけます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(現ときがわ町)(2003.6.8)
 一言:「山椒は小粒でぴりりと辛い」山椒で有名です。うなぎの蒲焼きに用いる粉状の山椒は熟した果実を粉末にしたものです。また、若い果実は佃煮の香辛料に用います。さらに、材はすりこぎに用いるなど、日本人の食卓に欠かせない樹木です。兵庫県出身の知人から、サンショウを使った自家製の「いかなごの釘煮」をいただきました。海の幸と山の幸を組み合わせたとても美味な一品でした。
    
サンショウの若い果実        山椒のきいた「いかなごの釘煮」  サンショウの材を用いた「擂り粉木」



15 シモバシラ(シソ科)
 特徴:シソ科の多年草で、関東地方より西の本州、四国、九州の山野に自生します。
     9〜10月、白い花を咲かせます。
     12〜1月、根から吸い上げた水によって、茎の下部に霜の柱ができます。
 観察場所:東京都板橋区(2005.12.18)
 一言:「シモバシラ」という植物があると知ったのは、私が学生の頃、植物図鑑を見てだったと思います。不思議な植物だなあとの印象を持ちました。それからかれこれ15年、実物を見ることはありませんでしたが、今冬、はじめてこの目で見ることができました。シモバシラは多年草のため、冬、地上部は枯れてしまいますが、地下にある根は枯れません。さらにこの根が冬になっても水を吸い上げ続けるため、茎の枯れた部分からしみ出し、気温が低いと凍って霜柱ができるということです。霜柱ができる条件は氷点下に下がった気温、穏やかな風、高い湿度の3点がそろった時です。平成17年12月18日、前日の天気予報によると東京の最低気温は0度、午前6時、風が吹いていること、車のフロントガラスが凍っていないことが気になりましたが、車を走らせ、現地に向かいました。カメラを片手に、ドキドキしながらシモバシラのもとへ駆け寄ると、下のような写真が撮れました。自然の造形美に心を洗われたひとときでした。
  
シモバシラの霜柱(2005.12.18撮影)           霜柱の結晶(2005.12.18撮影)



14 ヒメコウゾ(クワ科)
 特徴:クワ科の落葉低木で、本州、四国、九州の山野に自生します。
     4〜5月、紫色のウニのような金平糖のような花を咲かせます。
     6〜7月、橙色の果実が熟し、甘く生食用や果実酒用に用いられます。
 観察場所:埼玉県都幾川村(2005.7.2)
 一言:コウゾ、ミツマタ、カジノキと言えば、和紙の原料として有名です。左の写真にあるように、果実は橙色に熟し、生で食べてもおいしかったです。また、右の写真にあるように、枝の樹皮をめくると白い繊維が見え、和紙の原料に用いられるゆえんが垣間見られました。都幾川村の近くの小川町、東秩父村は古くからの和紙の産地として知られ、それぞれの施設で紙漉を体験することもできます。
   
ヒメコウゾの果実(2005.7.2撮影)              樹皮の下の繊維(2005.7.2撮影)



13 フキ(キク科)
 特徴:キク科の多年草で、本州、四国、九州の山野に自生します。
     3月〜4月に花(蕗の薹)が咲き、その後葉を展開します。
     早春を告げる草で、蕗の薹も茎葉も食用に用います。
 観察場所:埼玉県毛呂山町(2005.3.12)
 調理:フキ味噌
     @つんできたフキノトウを水洗いし、熱湯でさっとゆでます。
      (包が透明に見えればゆで上げ完了です)
     A刻んだフキノトウと味噌、砂糖を加えて和えれば出来上がりです。
     Bほろ苦い早春の味を堪能してください。
   
フキノトウ(2005.3.12撮影)                    フキ味噌(2005.3.27撮影)



12 ウリハダカエデ(カエデ科)
 特徴:カエデ科の落葉広葉樹で、北海道から九州の山地に自生します。
     5月頃、淡黄色の花を咲かせ、8〜10月に翼果をつけます。
 観察場所:埼玉県横瀬町(2004.11.13)
 一言:ウリハダカエデ、若い木の樹皮を見れば、1回見ただけで覚えることができる樹木の一つだと思います。しかし、似た樹皮をしたホソエカエデというカエデもあり、その区別はぱっと見では難しいです。わかりやすいのは葉の裏面で、ウリハダカエデは葉脈沿いに毛が生えていますが、ホソエカエデは無毛です。また、ホソエカエデは葉脈の集まる部分がカエルの足の水かきみたいになっているので、区別できます。
    
ウリハダカエデの樹皮(2004.11.13撮影)          ウリハダカエデの黄葉から落葉(2004.11.13撮影)



11 クリ(ブナ科)
 特徴:ブナ科の落葉広葉樹で、北海道から九州の丘陵から山地に自生します。
     6月に独特のにおいを放つ白い花を咲かせ、9月〜10月に食用となる堅果を実らせます。
 観察場所:埼玉県横瀬町(2004.9.18)
 一言:クリの実はいわずとしれた山の幸です。また、材は耐久性が高く、家の土台や板屋根などに用いられます。更に、椎茸栽培の原木や薪炭材にも用いられ、山の人々の生活に欠かせない樹木の一種類といっても過言ではないでしょう。ちなみに埼玉県は「知る人ぞ知る」のですが、栽培されているクリの面積はおよそ800haほどで、全国でも5本の指に入るクリの産地なのです。
    
クリのいが(2004.9.18撮影)        クリの実(2004.9.12撮影)          クリの樹皮(2004.9.12撮影)





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