第25回 ゆずの保存法

 埼玉県毛呂山町は、ゆずの産地として有名です。特に、市場では、地名から名付けられた「桂木ゆず」として、高く評価されています。ゆずは、冬至の「ゆず湯」に欠かせない青果物で、日本の冬を代表する青果物といっても過言ではないと思います。
 そんなゆずですが、12月を中心とした冬場に実り出荷されるため、夏場には店頭には並びません。夏場にゆずをちょっと香り付けにつかいたいなあと思ってもなかなか手には入りません。そこで、ゆずを保存して夏場でも使えるような工夫がなされてきました。

 今回は、みかん栽培の北限として知られている埼玉県寄居町在住の坂本さんに、ゆずの保存法を教えていただき、年も押し迫った平成19年12月24日に早速実践してみたので、紹介させていただきます。

 【用意するもの】ゆず、包丁、まな板、果汁しぼり器、ボール、製氷器、空き瓶、ホワイトリカー、フリーズバッグ、タッパー、蜂蜜、砂糖

 【手順】@ゆずの皮を包丁で細かくむき、フリーズバッグに入れて冷凍保存する。A皮をむいたゆずを半分に切り、果汁しぼり器で果汁をしぼる。B果汁はボールにためて、種子は空き瓶に入れる。C空き瓶に入れた種子にホワイトリカーを加え、冷暗所で保存すると、化粧水の出来上がり。Dボールにためた果汁を製氷器に流し込み、冷凍する。E冷凍した果汁ブロックをフリーズバッグに移し替えて、冷凍保存する。F皮をむいた果肉は、薄くスライスして、蜂蜜と砂糖を加えて、冷蔵保存する。

  
果汁しぼり器で果汁をしぼる(2007.12.24撮影)    種子、果汁、皮、果肉

  
製氷器で果汁を凍らせる                  果汁ブロック、皮、化粧水の出来上がり

 やってみると夢中になり、子供と一緒に楽しみながら実践することができました。果肉の蜂蜜漬けは、ホットゆずドリンクとして冬場に活躍しそうです。皮と、果汁ブロックは冷凍保存して、夏場、ゆずドリンクやゆずシャーベットなどにして楽しんでみたいと思います。種子は化粧水となりました。振り返ってみると、捨てた部分はほとんどありませんでした。ゆずのよさを改めて再発見することができた実践でした。坂本さん、どうもありがとうございました。みなさんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。



第24回 筑波山に登る

 「ゆっくりでいいから、自分のペースで歩くんだよ」と言って、筑波山頂への登山をスタートさせました。平成19年5月12日(土)、親子3人で筑波山に登りました。朝7時にさいたま市を出発し、外環、常磐道を経由して、約2時間で筑波山つつじヶ丘駐車場に到着しました。天候は快晴、絶好の登山日和でした。
 9時30分に、赤い鳥居をくぐり、ガマガエルの像の隣を通り抜け、出発しました。しばらくの間は、ヤマツツジの赤い花が真っ盛りの、広い尾根道を進みました。

  
つつじヶ丘登山口                       ヤマツツジの赤い花が真っ盛り

 しばらく行くと、登山道は樹林帯に入りました。標高はおよそ600mぐらいでしたが、ブナやミズナラといった落葉広葉樹と、アカガシなどの常緑広葉樹が混交する森林でした。通常、ブナなどの冷温帯と、カシなどの暖温帯の間には、中間温帯と呼ばれる中間帯が存在し、ブナとカシが混交することは希なはずですが、ここ筑波山では、両者が混交する、非常に面白い林層を見ることができました。

 そうこうするうちに、10時30分に中間地点の弁慶茶屋に到着しました。弁慶茶屋を過ぎると、今度は様々な形の巨岩のオンパレードの道を進みます。まず、弁慶七戻岩です。かの弁慶も恐ろしさのあまり、岩をくぐるのに7回も行きつ戻りつしたと伝えられる岩です。確かに、岩の下をくぐる時は迫力がありました。続いて北斗岩、出船入船など、次々に巨岩が現れ、歩いていて退屈を感じさせないコースです。

  
弁慶七戻岩                          ブナなどの落葉広葉樹林

 そして、歩き始めて2時間、11時30分に、ついに筑波山の女体山(標高876m)に登頂しました。山頂も巨岩だらけで、眼下のパノラマは素晴らしいものがありました。残念ながら富士山や秩父山地までは見られませんでしたが、眼下の関東平野、霞ヶ浦など迫力満点でした。

 
筑波山(女体山)山頂 標高876m            迫力ある山頂からの眺望

 帰りは筑波山ロープウェーで約8分で登山口まで降りてきました。コースタイム1時間30分のところを2時間で完登することできました。もうすぐ5歳、体力がついたものです。最後は、当日観察することができた植物などの画像をお楽しみください。

  
ヤマツツジ                 トネリコ                  オドリコソウ
  
ヒイラギソウ                ツクバネソウ               ニワハンミョウ




第23回 県民の森「癒しの森リフレッシュ効果」

 山が色づき始めた10月、県民の森で「癒しの森リフレッシュ講座」が開催されました。森の中でのセルフカウンセリングと自分の好きな場所探しをしながら、森林散策を行いました。森林散策前後に「気分プロフィール調査」に御協力いただき、県民の森の癒し効果の一部が認められる結果となりました。

日時:平成18年10月21日(土)10:00〜15:00
天候:くもり
場所:埼玉県民の森
参加者:10名(男性9名、女性1名)
コース:管理事務所〜尾根道〜丸山トンネル〜子供広場〜デイキャンプ場〜水辺の広場
     〜ケヤキの森〜野鳥の森〜展示林〜管理事務所

 まず、気分調査票に記入いただいた後、中央広場で深呼吸し、芝生で寝ころび、リラックスしてから散策をスタートしました。尾根道を歩きながら、落ち葉を踏む音、耳を澄まして風や小鳥のさえずりを聞くこと、巨木に抱きついて樹の温かみを感じることなど、リフレッシュできるポイントをみんなで確認しながら歩きました。

 丸山トンネルからデイキャンプ場までは、参加者一人一人がマイペースで、セルフカウンセリング、自分の好きな場所づくりを体験しながら歩きました。途中、ヒトツバカエデの紅葉がきれいなスポットや、ホオノキの落葉を踏む感触がよいポイントなど、それぞれの癒しポイントを探していただきました。

 デイキャンプ場での昼食後、西村インストラクターがフィトンチッドの話を、ケヤキの森では、塚本インストラクターから1/f ゆらぎとマイナスイオンの話を、渓流沿いの歩道で筆者が森林療法の取り組みの話を披露させていただきました。

 野鳥の森を抜けて、管理事務所に着いた後、再度、気分プロフィール調査に記入いただきました。その後、学習室で埼玉森林サポータークラブの横路会長から「アロマテラピー」について講義いただき、まとめに入りました。県民の森の地図に自分の気に入った場所を印してもらったところ、ケヤキの森に10個○がつき、一番の癒しスポットであることがわかりました。筆者も○をつけたのですが、ちょうどケヤキが黄葉し、風で落ち葉がゆらゆらと落ちる風景は、非常に癒される場所でした。

後日、気分プロフィール調査結果を取りまとめたので、以下に報告します。

結果概要

「緊張と興奮」と「不安感」は5%水準で有意差があり、森林散策によって緊張・興奮が緩和され、不安感が軽減された。また、「爽快感」は10%水準で有意差があり、爽快感が増加した。一方で、「疲労感」と「抑うつ感」は森林散策前後ともに低い値を示したため、有意差は認められなかった。県民の森の癒し効果の一部が認められる結果となった。

気分プロフィール調査結果

 

散策前

散策後

検定結果

緊張と興奮

-10.3

-15

5%水準で有意差あり

爽快感

2.2

5.6

10%水準で有意差あり

疲労感

-12.3

-12.3

有意差なし

抑うつ感

-12

-14

有意差なし

不安感

-9

-13

5%水準で有意差あり


                                         中央広場で寝ころぶ


 ケヤキの森で腰をおろす





ご参加いただき、また、気分プロフィール調査にご協力いただきました皆様にお礼申し上げます。



第22回 埼玉県「月のフルーツ」

 「埼玉県で採れる果実といえば何でしょう?」。もしこんな質問を受けたら、みなさんは何てお答えになりますか?「ぶどうや桃は山梨県、りんごは青森県、みかんは愛媛県、うーん、埼玉県で採れる果実?」と悩まれる方も多いのではないでしょうか?「梨や栗が採れるんじゃないの?」とお考えのあなたは、よくご存じですね!

 埼玉県の果樹の年間農業産出額は58億年で、全国第34位です(平成15年、農林水産省調べ)。全体で見るとやはり果樹の売り上げは低いのが現状です。しかし、品目別に見てみると、梨が36億円で全国第7位、栗が3億円で全国第4位の売り上げを誇っています。他にも越生町の梅や毛呂山町のゆず、秩父地域のりんごやいちごなど、埼玉県内でも多くの果実が生産されています。

 そうはいっても埼玉県の果実のイメージがわかないことから、埼玉県「月のフルーツ」を提案してみることにしました。「月のフルーツ」は、1月から12月までの月ごとに、埼玉県で収穫できる代表的な果実を12種類選定したものです。以下、月ごとに紹介します。また、「月のフルーツ」を中心とした収穫カレンダーも紹介します。

フルーツ 一言
1月 りんご 秩父地域などで栽培されている
2月 みかん 寄居町風布地区はみかん栽培の北限といわれている
3月 いちご 県内各地でいちご狩りが楽しめる観光農園が多い
4月 キウイ 上尾市などで栽培されている
5月 うめ 越生町の越生梅林は有名
6月 すもも 横瀬町芦ヶ久保の果樹公園村は有名
7月 ぶどう ぶどうの中では巨峰が最も多く栽培されている
8月 なし 埼玉県を代表する果物、埼玉生まれの「彩玉」も栽培されている
9月 くり 日高市の高麗川マロン、江南町の減農薬栽培は有名
10月 いちじく 騎西町などで栽培されている
11月 かき 秩父地域のあんぽ柿は特産品になっている
12月 ゆず 毛呂山町の桂木ゆずは有名




「埼玉県でもこんなにたくさんの種類の果実が採れるんだ」と、新発見(再発見)していただけたでしょうか。地産地消の推進や、青果物の原産地表示の義務化などにより、スーパーや八百屋さんで、埼玉県産の果実を多く見かけるようになりました。また、県内の農産物直売所は年々増加傾向にあり、その季節、地域の果実を購入することができます。

 このコラムをきっかけに、埼玉県産の果実に興味を持っていただけたら幸いです。そして、実際に埼玉県の「月のフルーツ」をぜひご賞味ください。

  
梨の「豊水」(左)と「彩玉」(右)               ぶどうの「巨峰」(2006.8.27撮影)



第21回 果実酒をつくる(クワ酒編)

 「果実酒」、その言葉に何とも魅惑的な響きを感じる方も多いのではないでしょうか。販売されているものを買うのも楽しいものですが、自分で作った「果実酒」をたしなむことほど贅沢なことはないのではないでしょうか。ということで、「果実酒」をつくってみることにしました。

 まずは材料を調達しなければなりません。家の近くで何かいい植物はないか考えたところ、クワならばそう遠くないところに生えているはずとの考えで、平成17年6月15日に、さいたま市の秋ヶ瀬公園に桑の実を探しにでかけました。
 すると、ありました。ありました。本数は多くはなかったのですが、大きな桑の木を1本みつけると、その木は桑の実をたわわに実らせていました。熟した黒い果実をつぶさないように慎重に採取しました。

   
桑の木(2005.6.5撮影)                    桑の実(2005.6.5撮影)

 家に帰り、さっそく果実酒づくりに取りかかりました。
 【クワ酒】レシピ
  @桑の実を塩水につけたのち、水で洗い流す(殺虫のため)。
  A容器に桑の実を入れる。
  B桑の実の半分〜同量の氷砂糖を入れる(甘さは自分の好みにあわせて)。
  C一味加えるためにレモンの輪切りを入れる。
  Dホワイトリカーを桑の実+氷砂糖の高さの3/2ぐらいの高さまで加える。
  E1〜2ヶ月冷暗所で保存する。
  Fホワイトリカーが色づき、果実が浮き上がったら、果実を除いて出来上がり。


   
桑の実・氷砂糖・レモン(2005.6.5撮影)           ホワイトリカーを加える(2005.6.5撮影)

   
約40日後(2005.7.15撮影)                  ワインレッドのいい色(2005.7.15撮影)

 6月5日につけてから約40日後、7月15日に果実を取り除き、「クワ酒」が完成しました。その味わいが格別なのはもちろんのこと、自然の恵みを享受できるその喜びに満たされました。我が家では食前酒として重用され、あっという間に飲み干してしまいました。

 今回、筆者は、学生時代にコケモモ酒、モミジイチゴ酒をつくって以来、10数年ぶりに果実酒づくりにチャレンジしてみました。「果実酒づくりは難しい」とお考えの方もいるかと思いますが、今回あらためて実践して、つくるだけならばそんなに難しくないと思いました。ただ、氷砂糖やホワイトリカーの微妙な分量、さらに隠し味の使い方によって、千差万別の果実酒ができそうなこともわかりました。果実酒の世界も奥が深そうです。

 「次は何酒をつくろうか?」、と考えるのも楽しみの1つになりました。みなさんもぜひ1度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。



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