第10回 らん・ラン・蘭展見聞記

 らん・ラン・蘭展、いかにもウキウキするようなラン展が、東京都の板橋区立熱帯環境植物館で開催されました。平成16年1月11日に見学に行ってきました。
 板橋区立熱帯館強植物館(愛称:グリーンドームねったいかん)は、都営三田線高島平駅から徒歩7分の場所にあります。熱帯館では、区民に地球環境問題を定義する目的で、日本と密接な関係にある東南アジアの熱帯雨林を再現しています。館内は、マングローブ林などの潮間帯植生、熱帯低地林、集落景観、冷室の雲霧林と全体で4つの植生ゾーンからなっています。また、ミニ水族館も併設し、熱帯地方の海底から高山帯まで連続した一連の環境を体験することができます。さらに、熱帯や地球環境などをテーマにした各種企画展などのイベントも行っています。
 今回のラン展は各種企画展の中でも人気の高いテーマで、多くの方々が訪れたようです。まず、熱帯館のゲートをくぐると、エントランスでたくさんのシンビジウムやファレノプシスなどの装飾されたランが出迎えてくれました。
    
熱帯環境植物館(2004.1.11撮影)              エントランスの装飾(2004.1.11撮影)

 地下の水族館で熱帯魚を観賞した後、温室に入ると、メヒルギやオヒルギといったマングローブ林が目に飛び込んできました。側面がアクリル板になっているので、根っこの様子をよく観察することができました。先に進み、マレーハウスのそばには、バナナやカカオなど、熱帯地方で栽培されている植物を観察することができます。当日は木の幹からじかにぶら下がっているカカオの実を見ることができました。
 また、高い位置の渡り廊下からは、温室内を一望することができます。まるでジャングルに迷い込んだような気分を味わうことができました。
    
カカオの実(2004.1.11撮影)                  渡り廊下からの展望(2004.1.11撮影)

 いよいよ、ラン展の展示室へとたどり着きました。ラン展といっても品評会形式のものや、装飾展示のものなど多様な形態があります。熱帯館のラン展の特徴は、ランの花の不思議な世界をパネルや実際の花を材料にしてわかりやすく展示し、来館者にランの花に対する興味を喚起している点があげられると思います。
 ランの原種のコーナー、ランの栽培過程の展示、ランと虫の密接な関係の展示、東洋ランの石庭コーナー、ランとつくがラン科ではない植物(例えば、ヤブラン、クンシランなど)コーナーなど、狭いスペースの中に興味深い内容がコンパクトにまとまって展示されていました。
    
企画展示室入り口(2004.1.11撮影)             東洋ランコーナー(2004.1.11撮影)

 なかでもランの栽培過程の展示では、ミクロ単位のランの種子、それを発芽させた培地、それを移植したポットなど、カトレアを栽培する過程が実物で展示され、普通のラン展では見ることができない展示で、とても興味深いものでした。
 また、館内の喫茶室では、ラン展の期間中限定で、ランアイスとラン茶を販売していました。ランアイスはカトレアの花のエキスを用いたもので、ラン茶はデンファレの花を塩漬けしたものを用いているようです。ランを見るだけでなく、ランを食すことができるラン展もめずらしいと思います。
    
ランの栽培過程(2004.1.11撮影)       ランアイスとラン茶(2004.1.25撮影)

 熱帯館のラン展は毎年1月に開催されています。このほかにも各種企画展が開催されていますので、興味がある方は下記ホームページを参照してください。
板橋区立熱帯環境植物館 http://www.ecopolis.city.itabashi.tokyo.jp/nettai/ 





第9回 国立市立公民館での講演

 昨年の初秋、ポストに1通の水色の封筒が入っていました。封筒には「国立市立公民館」の文字が。もしやと思い封を切ると、毎月1回開催される公民館の行事、「図書室のつどい」での講演依頼でした。早速担当の山崎さんに電話してみると、「自然を読む」を読んで、依頼されたとのことでした。せっかくの機会なので、ぜひお願いしますということで、話がまとまりました。それから数ヶ月、スライドや資料、話の原稿の準備を着々と進め、当日を迎えました。
 国立市の玄関口はJR中央線の国立駅です。ちなみに市のホームページによると、「国立」の名前の由来は、中央線の駅を新設する際、国分寺と立川の間に位置するということで、両市の頭文字を取って、「国立」としたそうです。
 平成15年12月20日、国立駅を降りると、片側2車線の車道と両側の歩道、そして車道を挟んでイチョウやサクラなどが植栽された2列の緑地帯という、とても道幅の広い、「大学通り」がまっすぐ南に向かって延びていました。
    
国立駅南口の駅舎(2003.12.20撮影)            道幅の広い大学通り(2003.12.20撮影)

 歩道沿いの看板によると、大学通りの樹木は高齢化し、樹勢が弱っている木も多いらしく、市民グループが堆肥をすき込むなど、保全活動に取り組んでいるようです。
 大学通りを南下すると、ほどなく通りの名前の由来となっている「一橋大学」のキャンパスにたどり着きました。構内は緑が多く、建物も歴史を感じさせる建物で、歩いていてとても落ち着く場所でした。市民のみなさんの散歩コースにもなっているようでした。
 そうこうしているうちに、講演の時間が迫ってきたので、公民館に向けて歩いていったのですが、途中の商店街は人通りも多く、国立はとても活気に満ちた街だとの印象を受けました。
    
一橋大学(2003.12.20撮影)                  キャンパス内の樹林(2003.12.20撮影)

 講演には、ありがたいことに22名もの方が参加してくださいました。「自然を読む」について講演するのも、2時間という長時間を講演するのもはじめてだったので、多少不安はありましたが、参加者のみなさんがとても熱心に聞いてくださっている姿に、自分の考え、思いを精一杯伝えなければと思い、気がつけばあっという間に2時間話し終えてしまいました。逆に話しすぎて、質疑応答の時間がほとんどなくなってしまうほどでした・・・。。
 講演の後、5人の方に「自然を読む」をお買いあげいただきました。また、熱心に質問されていた女性の方、自分も森林インストラクターを目指しているという男性、女性の方が個別に話に来てくれました。
 まだまだつたない話しかできない私ですが、参加いただいたみなさんの心に何かしら伝えることができたならば、良かったと思います。参加いただいたみなさん、今回の企画をたてていただきました国立市立公民館の山崎さん、どうもありがとうございました。
 最後に、国土地理院の地形図を「読む」と、国立市の南部にはまだ緑地が残されているようです。機会があれば、またゆっくりと国立の街の自然を読みながら歩いてみたいと思います。
    
講演の様子(2003.12.20)                    当日の参加者22名(2003.12.20撮影)    




第8回 草津白根山へ登る

 平成15年8月23日、親子三人での初めての山登りに挑戦しました。その山は「草津白根山」。草津温泉を山麓に抱え、日本百名山にも選ばれている名山です。体重約11kgの息子を背負い、コマクサの自生する本白根山をめざして約4時間の山歩きをスタートさせました。
 第一の目標は出発地点の白根火山バスターミナルから一気に登る「逢ノ峰」です。歩き始めからコケモモの赤い実やガンコウラン、クロマメノキの黒い実などが目立ち、夏の終わり、初秋を感じさせてくれました。はじめのうちは植物や景色を見る余裕がありましたが、徐々に肩の荷が重くなり、いつしか腰に手を当て下を向き登ることとなりました。
 そのかいがあり、何とか「逢ノ峰」に到着しました。山頂からはバスターミナルを眼下に見下ろし、その向こうに白根山山頂、湯釜の壁を望むことができました。また、山頂付近ではヤナギランの花を見ることができました。
    
コケモモの実(2003.8.23撮影)                ヤナギランの花(2003.8.23撮影)

 「逢ノ峰」を一気に下り、いよいよ「本白根山」への登りに取りかかりました。ここからは今までの草原とは異なり、亜高山帯の針葉樹林の中の登りとなります。
 その途中でとてもめずらしい光景を目にしました。亜高山帯針葉樹林の代表的な樹種といえばシラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガが挙げられますが、なんとその4本が1列に並び、寄り添うように生えていたのです。そこには4樹種の樹名板もついており、亜高山帯の樹木を勉強するにはもってこいの場所でした。はたしてこの4本は自然に生えたものなのか、はたまた人間に移植されたものなのかは定かではありませんが。
 そしていよいよ、突然視界が開け、「本白根山」の火口跡が目の前に広がりました。その大きくくぼんだ火口跡はガレ地になっており、そこにはたくさんのコマクサが生育していました。季節が遅かったのですが、何とか咲き残っている花も見ることができました。コマクサを観察しつつ歩を進めると、ほどなく「本白根山」の山頂に到着しました。
   
本白根山の火口跡(2003.8.23撮影)           高山植物の女王コマクサ(2003.8.23撮影)

 山頂からの眺めは抜群で、富士山や浅間山、奥秩父の山々などが一望できました。山頂で昼食を取ったあと、鏡池まわりで下山しました。ロープウェイの山頂駅からバスターミナルまでは運良くバスに乗せてもらい、バスターミナルに到着しました。その後、湯釜の壁を登りつめ、エメラルドグリーンの神秘的な湯釜も見ることができました。
 親子三人での初めての山登りは天候にも恵まれ、無事成功しました。次はどこの山に登ろうか、考えるのが楽しみです。
   
湯釜(2003.8.23撮影)                    湯釜から逢ノ峰、本白根山を望む(2003.8.23撮影)




第7回 我が家の収穫祭

 「わー、こんなに大きいのがとれたよ!」、平成15年6月15日の日曜日、我が家の小さな庭の小さなジャガイモ畑でジャガイモ掘りを行いました。
 思い返せば、去る2月22日、「きたあかり」という品種の種芋を埋めたのが始まりでした。10個の種芋を半分に切り、1日乾燥させてから間隔約30cm、深さ約10cmに埋めました。その後、3月20日に発芽し、順調に生育しました。しかし、密植しすぎたのが原因か、花が咲く前に5月下旬から葉が枯れ始め、6月15日までにほとんど枯れてしまい、どれだけ収穫できるか心配しながらの収穫祭となりました。
    
種芋埋め(2003.2.22撮影)           順調に成長(2003.4.13撮影)

 近所の3〜4歳の子供たち4人、大人6人、0歳児1人の合計11人でいもほりを開始!といっても実際の戦力は子供4人で、大人たちは応援に専念しました。
 すると、予想に反して、でるわ、でるわ・・・、子供たちは(大人たちも)大喜びで、次から次へとジャガイモを掘りあげました。その目が生き生きしていたことはいうまでもありません。約30分、泥と格闘して、すべてのジャガイモを掘りあげました。その後、ラディッシュ、キュウリも収穫し、作業を終了しました。
   
最初はおっかなびっくり(2003.6.15撮影)          ジャガイモ発見(2003.6.15撮影)

 本日の収穫はジャガイモ約150個(約10kg)、ラディッシュ約20個、キュウリ2本でした。みんな喜んでくれたことと思います。
 さて、今回のジャガイモについて費用対効果を算出してみました。

費用 収入 差し引き
種芋 300円 ジャガイモ10kg 2,000円
労賃   0円 みんなの笑顔 +а
合計 300円  合計 2,000円+а 1,700円+а

 以上のように、1,700円+аという効果を得ることができたと考えています。中でもなにより、未来を担う子供たちが土と触れあい、収穫の喜びを感じ取ってくれたとしたら、それほど嬉しいことはありません。いもほりに参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
    
ジャガイモとれたよ!(2003.6.15撮影)           本日の収穫物(2003.6.15撮影)




第6回 「仁志の森」で植林
 
 平成15年4月19日(土)、埼玉森林インストラクター会の主要事業の1つ「仁志の森づくり事業」の今年度の第1回目として、都幾川村の「仁志の森」で植林が行われました。当日はインストラクター12人、土地所有者の戸口さんの計13人でヒノキ200本、広葉樹40本を植林しました。
 まず、岩田会長から植栽概要の説明があり、「仁志の森」にはインストラクターのトレーニングフィールドとしてヒノキ人工林のエリアを設けるとともに、インストラクターの目指す森づくりとして多様な広葉樹などを植栽するエリアを設け、理想の森林を追求し、かつ育成していくことが確認されました。その後、小林さんから植林作業の進め方、作業の安全確認などについて話があり、実際に植林作業を開始しました。
    
会長が植栽概要を説明                     小林さんが植林作業について講義


 200年後の「仁志の森」のシンボルに仕立てようという壮大な構想の下、まず、沢沿いに巨木になるカツラを8m間隔で10本植栽しました。次にトレーニングフィールドとなるヒノキを200本、昨年ヒノキを300本植栽した斜面の上に連続して、1.8m間隔で千鳥状に植栽しました。
 さらにヒノキの上の山腹斜面にホオノキとヤマザクラをそれぞれ10本づつ植栽し、最後に沢沿いの斜面下部にトチノキを10本植栽して、作業を無事終了しました。
    
山の斜面に1列に並びヒノキを植栽              ヤマザクラなど広葉樹には支柱を立てる

 作業はお昼休みを挟んで約3時間ほどで終了しました。13人で240本を植栽したということで、単純に計算すると1人当たり約20本植えたことになります。作業の前後にはタラの芽やコバギボウシ、モミジガサといった山菜を収穫したり、沢沿いのヤマブキや野草のキケマンの花を観察するなど、個々のインストラクターにとって、とてもよい研鑽の場であり、この経験を今後のインストラクター活動に生かしていけるのではないかと感じました。
 今年度の「仁志の森づくり事業」では、今後、下刈り、植生調査、地拵えなどの作業が予定されています。何はともあれ、みなさん、作業お疲れ様でした。翌日の筋肉痛は大丈夫だったでしょうか?
    
作業後の笑顔                           「仁志の森」からの眺望



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